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1 ある日突然税務署から調査官が・・・
金物店を手広く経営している金野成三氏の住宅へある朝の9時、玄関のチャイムが鳴った。
金野氏は前夜痛飲したため、 二日酔いの寝ぼけ眼で玄関を開けると4名のスーツ姿の男達が立っていた。
責任者らしい人が身分証明書を示しながら言った。
正直一本「国税局資料課の正直一本です。
金野成三さんですね、今からあなたの税務調査をします。」
金野成三「はぁ・・・」
正直一本「あなたの店の本店及び支店また、各取引銀行に同じに税務調査に入っています。預金関係の書類を見せてください。」
と、言葉は丁寧ながら、イヤと言わせない態度で入ってきた。
金野氏は若い頃、行商からスタートし、まじめにコツコツと商売一筋でやってきて、
今ではかなりの規模で事業を拡張している。
しかし、現在の税理士の古武良氏が関与するまでは、
帳簿をつける知識もなく、いわゆるドンブリ勘定でつまみ申告をしてきた。
金野氏はボーッとしたまま、言われるまま関係書類を正直調査官に提出し、
調査が一段落したのは正午頃であった。
資料調査課は別名「リョウチョウ」と呼ばれていて、
「マルサ」の弟分的な調査部門で任意調査でありながら半強制的な調査を行うので、
納税者や税理士にとって厄介な部門である。
金野成三「あのぅ・・・、税理士の古武良さんに連絡していいですか?」
正直一本「どうぞ、かまいませんよ」
税理士の古武良氏に連絡があったのはその頃だった。
古武良氏は直ちに金野氏の住宅へ向かい、本店及び各支店にはそれぞれ職員を向かわせた。
古武良税理士「正直調査官、どうしてこういう方式で調査したのですか?」
正直一本「いや先生、実は今回の金野氏の調査はマルサの方からの資料で調査に入ったものですから、時間がかかると思いますよ。」
古武良税理士「エッ、マルサからの資料ですか?」
正直一本「金野さんは架名で3億円余りの預金がありますよ」
どうして、架空名義の預金が金野氏の預金であると判明したか、
不思議に思われる読者も多いと思うが、
架空名義の預金名義人と電話帳やゼンリンの住宅地図等を照合し、
または銀行にある連絡先電話番号を照合すればおのずと判明するものである。
(近頃は預金するときに身元を証明するものを提出することになっているから架空預金はできなくなった)
後から知ったことだけど、正直調査官および資料調査課は数ヶ月前から金野氏を内偵し、
時には尾行をして架空預金の通帳証書や
印鑑が保管してある貸金庫の銀行まで判明していたらしい。
その日から約2ヶ月間税務調査は続いたが、結局、修正申告したのは軽微な売上漏れや経費否認で3年間で100万円位の追徴となった。
それでは、3億円余りの架空預金はどうなったかというと、10年以上前の所得であったことが解明され、また架名を実名に戻す旨の誓約書を入れて一件落着となった。
ただ、この調査がよほどこたえたらしく、金野氏はその後、正直に申告納税をしております。 |
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