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3 大山鳴動ネズミ?匹
原河満腹氏は、繁華街で復帰前から40年間ステーキ店を経営していてる。
年齢が75才になるが後継者がいない事もあり、まだまだ現役で頑張っているいわゆる頑固者である。
その原河満腹氏の住宅へ朝10時に突然、税務調査官が4名、事前の連絡もなく訪れた。
通常、税務調査は任意調査であるので、本人か関与税理士へ事前に税務調査官から連絡がある。ところが、現金売上が多い企業へは、事前通知なく突然、調査を行う場合がたまにある。
いわゆる、現況調査というものである。しかし、この方法は税務署の都合であり、納税者や関与税理士にとっては、困る調査方法である。
今回の調査官4名のリーダー格の統括官は、猪突猛進という名前で他局から出向で来ており、出向前の局では資料調査課で”料調出身の凄腕”という評判が、税理士仲間でも立っていた。
猪突調査官 「ごめんください。税務署の者ですけど、今から税務調査を行いますので帳簿等を見せてください。」
原河氏「アガー、ニーサンターヤ ターヤガ?ヌーヤルバーガ?」
(あれー、あなた方は誰ですか?何事ですか?)
原河氏は興奮すると、すぐに方言が出てくる昔の人であった。
猪突調査官「ん・・・?原河さん何と言っているの?」
猪突調査官は原河氏の言っている事が理解できずに、隣の調査官の1人に聞いた。
原河氏は、午後から法事があるので調査は困ると訴えたが、猪突調査官は午前中だけでもとか、あるいは帳簿や通帳を預からせてくれとかで、全く帰る様子がない。
30分位押し問答が続いたあと、河原氏はようやく税理士の古武良氏へ電話することを思い出した。
古武良税理士へ電話が入ったのは、10時半頃であった。
原河氏「あっ、古武良先生。今、税務署の猪突猛進氏とあと3名の税務署の人が来て、帳簿や通帳を見せろと言
っていますが、私は今から法事があり出かけなければならないのです。どうすればいいですか?」
方言で一気にまくし立てられた。
実は、古武良税理士も午後から税理士仲間で模合ゴルフがあり、いきなりそれをキャンセルするわけにはいかなかった。今回は猪突調査官に帰ってもらおうと内心はカッカしながら原河氏へと向かった。原河氏の住宅には11時ごろ到着し、型どおりの挨拶が終わると古武良税理士は切り出した。
古武良税理士「猪突統括官、このように事前通知もなく調査に来られても、原河氏も私も、今日は予定がありますの
で困りますよ。」
さすがに古武良税理士は、ゴルフがあるとは言えなかった。
猪突調査官「いや先生、事前通知する・しないは我々の方で判断して通知はしなくても調査は出来ますよ。」
古武良税理士は、この言葉にちょっとキレかかった。
古武良税理士「猪突統括官、税理士法34条に税務調査を行う際には委任状を提出している税理士へ事前通知する
事になっていますよ。また税理士会と税務署との申し合わせ事項として、税理士へ通知するようにな
っていると思いますが。」
猪突調査官「先生、我々は税理士法には関係ないですよ。」
古武良税理士はこの一言に完全にキレた。
猪突調査官「統括!それを言うならば、私も所得税法234条の調査受忍義務には関係ないと言いますよ。調査に
は協力できませんから、今日はお引き取りください。」
このような、かなり緊迫したやり取りをそばで聞いていた原河市は、さすがに心配そうに言った。
原河氏「シンシーヨ、チャーガナナイサ、シムンドー」
(先生、何とかしますから、いいですよ。)
古武良税理士「いや原河さん、チャーガナナイサでなく、できるものはできる。出来ないものは出来ないと言うべきですよ。」
古武良税理士「猪突調査官、来週なら協力しますので、日程をお互い調整しましょう。」
結局、来週調査するという事で調査官4名が帰ったのは、11時半頃であった。
古武良氏も、ゴルフにようやく間に合ったが、スコアーは散々であった。(>_<)
さて、税務調査当日、10時きっかりに前回と同じく、猪突統括官他3名が臨店した。
猪突調査官「先日はどうも失礼しました。それでは帳簿類を見せて下さい。」
古武良税理士「よろしいですよ、必要な書類等は準備してありますから。」
その日は、午後4時まで調査官4名で書類を調査し、一応帰っていった。
2日目は、午前中に調査が終わり、午後になると猪突調査官が切り出した。
猪突調査官「先生、一応帳簿類の調査は終わりましたけど、原河さんの粗利が同業者率と比べてどうも低いので、推
計率を使って修正申告をしてもらいたいのですけど。」
古武良税理士「エーッ、推計率を使いたいですって?統括官、原河さんは青色申告者ですよ。青色申告を行っている
場合は帳簿を調査した上で、誤りがあれば修正をしますけど、青色申告をしているのに推計課税すると
はどういう事ですか。」
所得税法155条に、青色申告をしている者の所得を更正する場合には、その者の帳簿類を調査し、その帳簿に誤りがある場合に限り、これをする事ができるとある。
古武良税理士のこの言葉に猪突調査官は何も言わずに、また帳簿類の調査を進めていった。
その日はこのまま終わり、3日目の午前も終わる頃になり、猪突調査官がまた、切り出した。
>猪突調査官「先生、いろいろと調査しましたけど、若干の売上漏れがあります。また水道光熱費の内、家事関連費を
住宅と店舗との面積按分で計算しましたので、これで3年分の修正申告をお願いします。」
売上洩れと経費の一部否認ということで、3年分で20万円位であった。
事前通知もなく、調査官4名が調査したにしては、大山鳴動ネズミ1匹であった。
それでは、何故そうなったかというと、後日判明した事だが、兄弟が同じ名前で同じような店を出していたので、チェーン店かと思い、それにしては売上が少ないと、事前通知なしでの臨店になったらしい。
それにしても、猪突調査官の勇み足であった。
古武良税理士が、修正申告に原河氏の印鑑をもらいに行くと、原河氏ははしみじみと、
原河氏「シンシーヨ、フントーヤ ワンネーチムドンドンシ、シワソウタンドウ。ヤシガ、ナンクルナタンヤー。
イッペー ニフェーデービル」m(__)m
(先生、本当言うと心配していたんですよ。どうにかなりましたね。ありがとう。)
古武良税理士の独り言「それにしても、準備調査をキチンとしておけば勇み足もないのにサー、、、、(~_~;)」
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